ブログで使っている Hexo に人気の記事リストを表示したい!

ブログによくある「人気の記事」のリストが欲しい。しかしながら本ブログは JAMstack で動的なことができません。ところが、スゴイ Plugin があって静的なサイトなのに「人気の記事」ができてしますのです!!

環境
本記事の開発環境は以下となります。

  • Windows 10 64bit + WSL Ubuntu 18.04.1 LTS
  • OpenSSL 1.1.0g (WSL)
  • Visual Studio Code
  • Node.js 8.10.0
  • npm 5.6.0
  • sfarthin/ga-analytics 0.0.7
  • hexo-related-popular-posts 3.0.4

JAMstack なサイトの強み/弱み

スゴイ Plugin の紹介の前に、少し JAMstack について整理します。

本ブログは Static Site Generator の Hexo を使って静的なサイト、つまり JAMstack として作っています。静的なサイトなのでプログラムを動かせるようなサーバーは持っていません。

JAMstack にすることでパフォーマンスが良く、安全性を高めたサイトを作ることができます。詳しくは本ブログの記事JAMstack、それは ハイパフォーマンスなウェブフロントを実現するアーキテクチャをご参照ください。

メリットがあれば、デメリットもあります。静的なサイトになるので動的なこと、たとえばコメント欄などは実現できません。今回のテーマである「人気の記事」も同様で、実現するには各記事へのアクセスを集計しアクセスが多いものを人気として動的にリストを作る必要があります。つまり JAMstack ができない、動的な機能が必要となります。(なお JAMstack で動的な要素が必要な場合は SaaS などのサービスと連携して実現することが多いです)

この動的なことができない JAMstack ですが、tea3/hexo-related-popular-postsplugin が「人気の記事」を実現してくれます!

作者ᴛ ᴇ ᴀ 🍵(@tea0828)さんのサイトHexoブログで関連記事や人気記事を生成するプラグインを作った(node.js製hexo)|おちゃカメラ。によると、Google Analitycs のページビューを取得して、人気の記事を作るとのことです。確かに Google Analitycs は設置しているケースは多いですし、本ブログでも設定しています。また各ページごとのアクセス数もしっかり取ってくれています。そこに注目して Plugin として実現してしまうのがスゴイ!

そして形態素解析も備えていて、記事本文を分析して「関連する記事」のリストも作ってくれます。また「人気度」「関連度」を組み合わせることもできミックスしてどちらにウェイトを置いてリストを作るかの制御も可能です。

ただし注意点が1つあります。Static Site Generator の Plugin なので「サイト生成時に動作」します。つまりリアルタイムに人気の記事は変化しません。あくまでも「サイト生成時の人気の記事」であることに留意が必要です。とはいえ、きちんと投稿したりサイトメンテをしていれば更新されていくので安心ですし、夜間ビルドを走らせて毎日ビルドしてしまう手もあります。

最高にスゴイ Plugin です。ᴛ ᴇ ᴀ 🍵(@tea0828)さんありがとうございます!!

インストール

Hexo のプロジェクトディレクトリへ移動して、以下のコマンドを実行します。

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$ yarn add hexo-related-popular-posts

※ npm を使っている場合はnpm install -S hexo-related-popular-posts

人気の記事リストを表示

さっそく Google Analytics からアクセスデータを取得して人気の記事リストの機能を使っていきます。この機能を使うために Google Analytics へ Web API 経由でアクセスできるようにします。
設定方法の詳細については、こちらの記事Google Analytics に プログラムでアクセスできるようにするをご参照ください。

本記事では以下が用意できているものとして進めます。

sfarthin/ga-analytics で動作確認したgoogle-services.pemを Hexo プロジェクトのルートディレクトリに配置します。

プロジェクトディレクトリ直下の_config.ymlに以下を追記します。

  • rankingSheetは人気の記事に使うランキングデータを保存するファイル名
  • pvMeasurementsStartDateは累計アクセス数の計測を開始する日付
  • cache: path:は解析結果のキャッシュファイル
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    popularPosts:
    googleAnalyticsAPI:
    rankingSheet: rankingSheet.txt
    pvMeasurementsStartDate: 2005-11-14
    cache:
    path: hexo-popular-related-posts-cached.json

以下のコマンドを実行し Hexo ローカルサーバーを起動します。起動時に Google Analytics へアクセスしランキングシートが生成されます。

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$ export GOOGLEAPI_CLIENTID="[サービスアカウントの名前].apps.googleusercontent.com"
$ export GOOGLEAPI_EMAIL="[サービスアカウントのメール]"
$ export GOOGLEAPI_KEY="google-services.pem"
$ export GOOGLEAPI_ANALYTICS_TABLE="ga:[Google Analytics の ビュー ID]"

$ yarn hexo start

_config.ymlrankingSheetで設定したファイルに各記事の PV が出力されていることを確認します。(pvMeasurementsStartDateを設定してない場合TOTALPVは 0)

人気の記事のウィジェットを作成

Plugin の動作が確認できたので、ブログに人気の記事を配置します。
今回はウェブサイトの右側にあるウィジェットを新たに追加します。

「最近の投稿」が似ているイメージなので、こちらをベースに作ります。
Google Chrome でサイトを表示し「最近の投稿」を右クリックして [検証] を選択、Chrome DevTools でソースを確認します。

<h3 class="widget-title recent">最近の投稿</h3>widget-titleで全文検索します。(※recentは本ブログのカスタマイズにて追加したもので、素の Hexo landscape テーマにはwidget-titleしかありません)
たくさん見つかりますが各ウィジェットと、そのスタイルです。「最近の投稿」の本体はrecent_posts.ejsです。

recent_posts.ejsを参考に/themes/landscape/layout/_widget/popular_posts.ejsを作ります。

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<% if (site.posts.length){ %>
<div class="widget-wrap">
<h3 class="widget-title popular">よく読まれている投稿</h3>
<div class="widget">
<%- popular_posts({ PPMixingRate: 1.0 }) %>
</div>
</div>
<% } %>

<%- popular_posts({ PPMixingRate: 1.0 }) %>が hexo-related-popular-posts で人気の記事を表示するコードになります。
PPMixingRate1.0は「人気の記事」、0.0は「関連する記事」になります。

設定の詳細は公式のヘルパータグの表示オプション - Hexoブログで関連記事や人気記事を生成するプラグインを作った(node.js製hexo)|おちゃカメラ。を、ご参照ください。

作成した人気の記事のウィジェットを有効化

ウィジェットを追加するにはテーマの設定ファイル_config.yml(/themes/landscape/_config.yml) を更新します。
※ こればかりは Chrome DevTools や全文検索では見つけにくくドキュメント参照Configuration - hexojs/hexo-theme-landscape: A brand new default theme for Hexo.

widgets:に表示するウィジェットのファイル名を列挙します。
今回は最近の投稿の上に表示したいので- tagcloud- recent_postsの間に- popular_posts(ファイル名popular_posts.ejsの拡張子.ejsを除いた名前) を追加します。

作成した人気の記事のウィジェットのスタイル適用

ローカルサーバーを使い動作確認を行うとウィジェットが表示されますが、記事のタイトルが大きいように感じます。これは hexo-related-popular-posts が生成するリストに<h3>タグが入っており若干大きく表示されているのがあります。スタイルを適用してそろえるようにします。
(<h3>タグを取り除くようにカスタマイズもできます -リストのHTMLをカスタマイズ)

先ほどの全文検索で見つかったsidebar-aside.styl(/themes/landscape/source/css/_partial/sidebar-aside.styl) に以下を追加します。
ウィジェットを作った際に<h3 class="widget-title popular">widget-titlepopularを追加して作りました。これにより人気記事のウィジェットにクラスを当てられるようにしています。あとは<h3>タグのフォントサイズを親タグから継承させて完成です。(Riotz.works のサイトではアイコンを入れたりマージンを広げたりしてますが、この辺はお好みで)

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.widget-title.popular + div li
h3
font-size: inherit

注意

環境変数に設定した GOOGLEAPI_CLIENTID などの各 ID とgoogle-services.pemをセットで GitHub の Public Repository などへアップしないようにします。Google Analytics のデータにアクセスされてしまうほか、権限設定に誤りがあると不正操作される可能性があります。

関連する記事リストを表示

せっかくなので記事の下に関連する記事のリストも表示します。

デフォルトでタグから関連記事を抽出してくれます。また形態素解析にも対応しておりmorphologicalAnalysisオプションを追加することで利用可能です。形態素解析を利用する場合はプロジェクトディレクトリ直下の_config.ymlに以下を追記します。
※ 除外キーワードなど設定が柔軟に行えます -記事本文と関連する記事

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popularPosts:
morphologicalAnalysis:
googleAnalyticsAPI:
rankingSheet: rankingSheet.txt
pvMeasurementsStartDate: 2005-11-14
cache:
path: hexo-popular-related-posts-cached.json

表示する場所は SNS 共有リンクの下にします。こちらは前回の記事で改修した場所/themes/landscape/layout/_partial/article.ejs<footer>タグ内になります。

以下のコードを<footer>タグ内に追記します。(ここでは、キャプチャの46行目)

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<div class="related-posts">
<h2>関連記事</h2>
<%- popular_posts({ PPMixingRate: 0.0 }, post) %>
</div>

/themes/landscape/source/css/_partial/article.stylを編集して、スタイルを適用します。

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.related-posts
clear: both
margin-top: 32px
li
margin-bottom: 4px
a
color: color-link
text-decoration: none
&:before
margin: 0 4px
content: "-"
&:hover
color: color-link
text-decoration: underline

配置やスタイルは全体のデザインや好みがありますので、一例として。
フォントカラーのcolor: color-link/themes/landscape/source/css/_variables.stylに定義されている値を使っています。

また.article-footerの CSS が効いているので必要に応じて上書きする必要があります。たとえば<a>タグのcolorは記事のタグで使われているため本文と同じ色に設定されています。そのためリンクっぽくないので上書きしています。

ということで、関連する記事のリストが表示できました!


JAMstack なのに、アクセス解析が必要な「人気の記事」を作ることができました!
hexo-related-popular-posts、Google Analytics を使う着眼点と、それを実現する実装力、素晴らしいです!!

累計アクセスも取得できているので拡張することで、いわゆる「殿堂入り」リストも作れそうです。
また、この Google Analytics と連携して人気の記事を作る手法は他の Static Site Generator にも応用できるので、最近使い始めている Gridsome 版へのポーティングにもチャレンジしてみたいです。