AWS Lambda が Node.js 10 に対応したので、Node.js 8 で作っていたプログラムの Node.js 10 対応を進めています。ところどころでエラーが出るので修正。このブログで使っているライブラリにも Node.js 10 で動かした時にエラーの出る部分があったのでプルリクを送りました。
2019年5月現在、Node.jsの最新バージョンは v12 です。AWS Lambda が v10 に対応。ようやくといった感じも受けますが、Node.js の LTS は v10 なので現行ともいえるでしょう。
Node.js のロードマップは、こちらhttps://nodejs.org/ja/about/releases/
AWS Lambda のバージョンアップに合わせて各プログラムのバージョンアップ対応をしています。その中で本ブログの Node.js バージョンを上げたところエラーが発生しました。せっかくなので修正とともにプルリクエストを上げます。
※ 本ブログは Static Site Generator のHexoを使っており、最近の Node.js v12 を使えますが、全体(= AWS Lambda を使ってるプロジェクト)に合わせて Node.js v8 を使っていました。今回も同様に v12 ではなく v10 にします。ただし検証と修正は v12 で動作するところまで確認。
環境
本記事の開発環境は以下となります。
- Windows 10 64bit + WSL Ubuntu 18.04.1 LTS
- Visual Studio Code
- Node.js 8.10.0 / 10.15.3 / 12.3.0
- sfarthin/ga-analytics 0.0.7
プルリクを出すことになった背景
本ブログのプロジェクトを Node.js v10 で起動すると、以下のエラーが表示されます。
1 | username@pc:~/website$ yarn dev |
プロジェクト配下のnode_modules/ga-analytics/module.js
の 89行目でCallback must be a function.
とのこと。
インストールされた npm モジュールga-sfarthin/ga-analytics
にトラブルがあるようです。今回、直接インストールしたものではありませんが、ブログの人気記事リストを作るtea3/hexo-related-popular-postsplugin が使っています。
詳しくは、こちらの関連記事をご参照ください。
問題を把握したところで重複レポートを避けるために GitHub Issue / Pull Request を確認します。どちらにも該当はありませんでした。
エラーの原因特定
では改修できるのか、プルリクを出せるか、ソースを確認します。(ファイル先頭のrequire
と、後続処理も合わせて抜粋)
エラーログが指しているのは、下記抜粋の9行目fs.writeFile(sessionFile, JSON.stringify(result));
です。
1 | var googleapis = require('googleapis'), |
このfs.writeFile()
は Node.js の基本 API で、ファイルにデータを非同期処理で書き込みをします。非同期処理なので、ファイル書き込み処理が始まると完了を待たずに後続処理、ここではoauth2Client.setCredentials({})
へ進みます。
そしてファイルの書き込みが完了するとfs.writeFile()
のコールバック関数が実行されます。
問題となっているエラーはCallback must be a function.
です。ざっくり言うと「コールバックはfunction(関数)
にして」です。
つまりfs.writeFile()
にコールバックの関数を渡してほしいと。そして現状どうなっているかというとfs.writeFile(sessionFile, JSON.stringify(result))
で、コールバック関数を渡していないです。
※ コールバック関数は第3または第4引数で渡します。
参考情報
検証
原因が分かったところで検証します。
今回は完全に独立したコードで検証できるのでTypeScript プロジェクト用サンドボックスで簡単コード検証の環境を使います。TypeScript プロジェクトですが、TypeScript は JavaScript のスーパーセットで JavaScript プロジェクトとしても動作します。検証は簡単に実行できれば、どのような環境でも大丈夫です。
index.ts
に以下のコードを書きます。
1 | const fs = require('fs'); |
まずは、最新の環境 v12 で試します。
エラー内容は TypeScript になっていますが、エラーメッセージが出ています。
1 | v12.3.0 |
私の環境 v10、メッセージが少し変わりましたがエラーです。
1 | v10.15.3 |
これまでの環境 v8、動作します。
しかしながらwithout callback is deprecated
、「コールバック無しは非推奨」の警告が出ています。
1 | v8.16.0 |
これでコールバック無しの呼出し方法が「v8 非推奨」が「v10 廃止、エラー」になったことがわかりました。
では、コールバック有りに修正すれば OK です。
検証用のindex.ts
では下記。
1 | const fs = require('fs'); |
sfarthin/ga-analytics のコードでは下記(必要箇所のみ抜粋)
1 | fs.writeFile(sessionFile, JSON.stringify(result), function(err) { |
なお TypeScript で実装するとすぐにわかるのですが、型チェックエラーで引数が足らずコンパイルも実行もできないです。型チェック素晴らしいですね。
[補足]sfarthin/ga-analytics
の最終更新は 2014-11-21 のバージョン 0.0.7 。当時は Node.js v6 (v8 のリリースは 2017-05-30)なので、非推奨もされてない時代です。
TypeScript のNode.js 定義もwriteFile(filename: string, data: any, callback?: (err: NodeJS.ErrnoException | null) => void)
とcallback?
なのでオプショナルです。
それから5年間メンテが止まりつつも、実行環境で問題はなかったのかもしれません。v8 は非推奨でも動作するし、LTS でサポートもまた続いているので大きな影響が出てなかったのかもしれません。
プルリクの作成
さっそくプルリクを作って送ります。sfarthin/ga-analytics
のリポジトリから [Fork] で、自分のアカウントにフォークしてローカルへクローンします。
ボタンを押してクローンするだけなので今回は省略しますが、詳しい手順を確認したい場合はこちらをご参照ください。
- フォークしてプルリク作成の環境用意 - hexo-related-popular-posts にサブパス対応のプルリクを送る
- フォークしてプルリク作成の環境用意 - Validate TypeScript にインストールエラーの修正についてのプルリクを送る
今回も単発のプルリクなので、1つしかないmaster
ブランチへ直接コミットして上げてしまいます。
ただし、今回は注意点があります。
- インデントがタブ
- 空行もインデントされている
- ファイル末尾に改行コードがない
これを壊さないように変更しコミットする必要があります。
私の環境の Visual Studio Code と Eclipse は、すべて反対の設定になっているため難しいです。今回はコンソール WSL Ubuntu 18.04.1 LTS からvi
で修正することにしました。しかしvi
でもファイル末尾に改行コードを自動的に入れてくるので、保存する前に:set binary noeol
を実行してから保存します。(お使いの vi/vim によって異なるかもしれません)
フォークした自分のリポジトリから [New pull request] ボタンでプルリクを作り送ります。
取り込まれますように 🙏
Node.js のバージョンアップに伴いエラーが発生したのを修正するプルリクでした。今回はコーディング規約(明文化されてないけど読み取って)の部分で苦戦しました。普段のコミットも同じですが、本来変更したい部分と関係ないところに差分があると考えてしまいます。無用な差分が発生しないように変更してプルリクを出したいところです。(自分のプロジェクトだとつい許容してしまいますが、できればコミットを分けたいところ)
そして “オープンソース フライデー | 今週の金曜日は、利用しているお気に入りのソフトウエアを数時間助けてみよう。“ に登録してみました。(typo してる。。。 ⇒ ×始めて見る 〇はじめてみる)
ちょっとずつだけど、始めて見るhttps://t.co/6mPGDlJ6kqpic.twitter.com/BvRQ6KQwps
— lulzneko (ラルズネコ) (@lulzneko)2019年5月22日
直近3ヶ月、本記事を含めて月1つのペースでプルリクを出していました。そして、ブログメンターのカック@ブロガー / k9u(@kakakakakku)さんとお話をしている中で「自分が使っているプロダクトの Issues を修正するのは喜ばれることだし、自分も助かる。2倍嬉しい。」と勧められました。エラーの修正は必然なのでともかく、機能の追加改善などは自分のためだけでなくみんなのためにするべきです。前回の記事ブログで使っている Hexo の SNS 共有リンクに記事タイトルを入れるなども自分だけではなくプルリクで上げたほうが良かったです(後で上げます)。そうしたことから、”オープンソース フライデー” として、何かしらの OSS 活動を意識するような日にしたいと考えました。金曜日は OSS の取り組みを少しだけでもするようにします。
参考情報